• 大山

利用者のカツエさんを取材

こんにちは。大山です。


今日はいーえんの利用者さんのおひとりをご紹介します。

いーえんには男女それぞれ10人の利用者さんが暮らしていますが、そのなかでも一番ユニークな利用者さんで、取材に来ている私にいつも気さくに声をかけてくださる方です。

いーえんにはどんな利用者さんがいるの?という疑問に、お答えできればいいなと思います。


取材当時は55歳、いーえんには6年いらっしゃるカツエさんです。


イラストのピンクの服の人がカツエさん。椛山さんと手をつなぐ様子がとてもキュートでした。


カツエさんは知的障害であるために社会になじめず、刑務所を出たり入ったりしていた方です。6年前、何度目かの刑務所からの出所後に、当法人の所長に連れられていーえんに来ました。


「いーえんに来たときは、すぐにいなくなっちゃう落ち着かない子だった」


と、椛山さんは当時を振り返ります。

いーえんの他の利用者さんとも職員さんともすぐにはなじめず、一緒にご飯も食べられなくて、気が付くとどこかにいってしまう癖があったそうです。

毎日のように出かけて行っては出かけた先で帰れなくなり、いーえんに迎えに来てほしいと電話をします。自傷行為も繰り返したそうで、お話の中のカツエさんは今とは別人のようです。


自傷行為をして血を流すカツエさんの手当てを、いつも椛山さんはしていたといいます。


「手当をして、それが完治して、もうやらないと約束をしたの。

それなのに数日したらまた部屋で手首を切って血を流していたから、あの時はものすごく叱ったの」


ほおっとくわけにはいかない、そんなことをしていたら死んでしまうと椛山さんは必死だったそうです。


「あの時はすごく怖かった。でも私のことを思って怒っているのだということはわかったから、嫌いにはならない」


カツエさんはそれ以来、自傷行為をやめました。


お話中沈んだ表情になるカツエさんに、

そういうことがあってもしかたないのよ、と椛山さんは言います。


「とことん付き合うの。突然いーえんに来て戸惑ったり動揺するのは当たり前のことだから。

時々はやりあうこともあるけれど、きちんと向き合っていればちゃんと伝わるものがあるはずなの。」


私たちはもちろん、このお仕事でお給料をもらっています。

でもお給料の問題だけなら、他にいくらでもお仕事がありますよね。福祉の仕事に携わっているということは、綺麗ごとのようですがやっぱり愛があるのだと思います。そしてそれが利用者さんには伝わるのだと信じたいと、椛山さんのお話を聞いて感じました。


カツエさんは椛山さんのことを「あーちゃん」と呼びます。

小さいころお母さんのことをそう呼んでいて、それを思い出して椛山さんを呼ぶのだそうです。


「くらし応援ネットワークの所長とあーちゃんには助けられた。

今の私がいるのはあーちゃんのおかげ。

あーちゃんにも、いーえんの職員さんにもありがとうって何度も言いたい」

そう言って、カツエさんは椛山さんの手をしっかり握っていました。

いーえんに来た当初の様子が想像もできないくらい、今のカツエさんは落ち着いていて、時間もきちんと守り、椛山さんの手伝いもできるそうです。




ところでそんなカツエさんは大の猫好き。

カツエさんのお部屋を椛山さんは「猫部屋」と呼ぶので、見せてもらうことにしました。


お部屋に入ってすぐにベッドの上にたくさんの猫が・・・


振り返って棚を見ると、そこにもたくさんの猫・・・


「服も猫だよ」


と、カツエさんが衣装ケースから取り出すと・・・


毎日使うカバンも置かれていましたが、こちらも・・・・


カツエさんは猫のイラストも上手です。


「入所時の利用者さんは紙袋ひとつしか荷物がない人がほとんどなの。すぐにこんなふうに部屋がいっぱいになるのよ」


カツエさんの猫コレクションを見ながら、椛山さんはうれしそうです。

荷物が増えるということは、気持ちが落ち着いてきた証拠ですよね。自分の居場所を見つけられないところに荷物を増やそうだなんて誰も思いません。

たくさんの荷物が、利用者さんが自分の居場所を見つけた印だと椛山さんは感じているようです。




カツエさんが見せてくれたノートには、彼女の字で「幸せです」と書いてありました。


「時々、このまま時間がとまってくれればいいと思うよ。」


そう言うカツエさんの笑顔はほんとうに幸せそう。

そして私たち職員にとって、この言葉こそ最高にうれしい言葉です。

いーえんの職員さんを信頼して、ご自分の毎日の生活に安心するからこそ、幸せを実感するようにこうして猫が増えていくのでしょうね。

カツエさんによると、猫はこれからも増えていく予定だそうです。