いーえんでの夕食風景
最終更新: 2017年12月11日
こんにちは、大山です。
椛山さんのお話を聞きにグループホーム「いーえん」を訪れて、さっそっくホームの夕飯を拝見させていただくことになりました。
いーえんにこの日いたのは職員さんも含めて24人ですが、私が拝見させていただいたところではそのうちの女性15人が食事をします。
ずらっと並んだお皿に椛山さんは料理を取り分けます。

いーえんをはじめくらし応援ネットワークのグループホームでは、平日の夕飯は食缶が配達されます。
当法人の事業所のひとつに「ふぅえん」という就労継続支援B型事業所がありまして、グループホームの夕飯、他の事業所の職員さんや利用者さんのお弁当など食事関係を一手に担っています。
ゆくゆくはこの事業所も取材に行ってご紹介したいと思います。
この日のメニューは鮭の米麹焼きと宝袋、あさりと小松菜の味噌和えでした。



手早く均等に盛り付け終わったころ、利用者さんたちが食事をしにダイニングに入ってきます。
小さな玄関は靴でいっぱいになりました。

『夕食は18時。毎日きちんと守れるように伝えるの。みんな挨拶も忘れてない。そういうひとつひとつのことを毎日続けてもらってます』
と、椛山さんはご飯をよそいながらお話ししてくれました。 手元を見ると色とりどり、サイズの違うお茶碗がたくさん。

『食べる量はひとりひとり違うんですよ。』
「みなさんの食べる量をひとりずつ覚えてるんですか?」
椛山さんは頷き、『長くやってるからね』と答えてくれました。
『風邪の人はおかゆがいいね。』

この日、いーえんでは風邪が大流行。
その方たちのために、手早くおかゆも作ります。

食卓はすごくにぎやかです。
みなさん自分でおかずを取って椛山さんがよそった白飯を受け取り、お茶を汲み食事スタート。
できることは自分でする。このホームでみなさんが目指していることの一つです。
しかし、
障害や体調によってはできないこともあります。
いーえんには一人、目の見えない方がいますが、その方が自分で食事ができるように椛山さんは魚をほぐしたり、大きなおかずは食べやすく切り分けたりしています。
その方は、
こぼしたりしないようにゆっくりていねいに食事をし、目が見えなくても手で食べたりしない。
自分でできることは、やっていらっしゃいました。
椛山さんは食事のマナーは厳しめに伝えるようにしているそうです。
でもそれも理由があります。
『たまには外に食事に行きたいでしょ? でも外できちんと食事ができないと、ご本人自身が悪く言われたり、最悪の場合はもう来ないでほしいと言われたりするでしょ? そうなったら困るのはご本人自身なのよ』
自立するというのはただ生活ができればいいというものではありません。
社会の中で行動できるかもとても重要です。食事のマナーもそのひとつ。マナーがきちんと守れていると、人としての信頼にもつながります。
当たり前のことですが社会人としてはとても大事なことだと、私もしみじみ学びました。
だから当然、食事が終わった後の片づけもみなさんが各自で行います。自分で使ったものは自分で片付ける。社会人のマナーです。

「椛山さんはお母さんみたいですね」
と私が聞くと
『そうね。私がお母さんでみなさんは姉妹みたいなものかな』
と答えてくださいました。


自分の食べる量を覚えてくれていたり、風邪の時はおかゆを作ってくれたり。帰ってきたらあいさつをしましょう、食事の前には手を合わせましょうと教えてもらうことも、普通の家庭では当たり前にあることですが、利用者さんの中にはそういう当たり前のことを教えてもらえなかった家庭環境の人も多いそうです。椛山さんはその〝あたりまえ”をみなさんにコツコツと丁寧に伝えています。
地域社会の中で生活するとき、そういう当たり前なことを知っていたほうが本人たちが大切にされる。利用者さんみんなひとりひとりを大切に思い、ひとつひとつ細かいけれど当たり前のことを伝えるということが、利用者さんへのお母さんのような愛情のように感じました。
食卓の雰囲気は私の知っている家庭の団らんに似ていて、初めて訪ねた私でもちょっと落ち着いてしまったくらい。
こんなところなら私も生活してみたいと思ってしまいました。
次回、今度はいーえんの夜にお邪魔してみたいと思います。